念願のタンナー工場見学へ
タンナーとは動物の『皮』を腐らないように鞣して『革』にする人、会社のことです。
今回はそのタンナーを見学できる、『本日は革日より♪』さん主催の、『2018たつの市皮革まつり&タンナー見学バスツアー』に参加してきました。
去年の秋に開催された時に興味を持ち、今年の春に開催されたツアーは気づいた時にはすでに定員オーバー。キャンセル待ちに登録してもダメでしたが、今回は念願叶って無事参加できました!ちなみにツアー参加費は6,000円。
普段レザークラフトで何気なく使っている革がどのような工程を経て作られているのかを実際に見て皮革の知識を学ぶことが出来るし、そんな工場内の風景なんて写真の被写体としてもかなり魅力的!
バスツアースタート
10時に姫路駅を出発。まずはたつの市で開催されている『第27回たつの市皮革まつり』へ向かいます。
参加者は20人程。バス内では僕もA4サイズの革や金具などをネットショップで購入したり、実際の店舗にも何度か足を運んだことがある、レザークラフトフェニックスの革職人、今ツアーの主催者である村木ルイさんが、皮革やタンナーにまつわる歴史など色々な話を解説してくれます。
例えば近年、日本人は牛肉のサシを好むため肉が大きくなりその結果、皮はあまり締りがよくないんだとか。あくまで皮は食肉の副産物ってことですね。
第27回たつの市皮革まつり
30分程で『第27回たつの市皮革まつり』の会場に到着しました。
タンナー自らが販売する皮革直売会やレザークラフト教室、革細工体験コーナー、皮革製品即売会、学生による皮革作品の展示やファッションショー、ニューレザーコンテスト等、皮革づくしのお祭りです。
レザークラフトに関心がある人達が集まるマイナーなまつりかと思ってたけど全然そんなことはなく、老若男女多くの観光客で大賑わいでした。
地元の郷土料理や名産品が売られていたり、屋台もたくさんあって充実していました。
僕は無料の牡蠣汁、牡蠣コロッケ2つ、牡蠣のお好み焼きと、とにかく牡蠣を堪能。
お気に入りは牡蠣コロッケ。すごくクリーミーで美味かったです。
そもそもなぜ兵庫県のたつの市なのか?
というのもここ兵庫県のたつの市・姫路市は古くから皮革産業が盛んで、多くのタンナーが集まる場所なのです。
日本全国で登録されている300以上(実際に可動しているのはもっと少ない)のタンナーの8割が、たつの市・姫路市にあるんだとか。これはすごい数ですね。
まさに『皮革の聖地』であります。『姫路レザー』という言葉も耳にしますよね。
我々ツアー参加者にとってもメインイベント、ニューレザーコンテストの模様です。
各タンナーが、それぞれの議題に合わせた革を作り出展しています。
動物革細工の虎と龍。これめっちゃ可愛いなぁ。
水で濡らしながら成形していく感じなのでしょうか。こういった物にも挑戦してみたいですね。
これの小さいタイプを地元の女子高生に教わりながら作れるという革細工体験コーナーも開催されてたのですが、小さい子どもたちが教わっている中、中年男が一人で参加するのもどうかと躊躇して結局参加せず。今になってめっちゃ後悔…。
革で作られた姫路城はまさに圧巻。作りがすごく丁寧で細かい!
革って本当に何でも作れるなぁ。
革も安く販売してましたが、半裁で買った革がまだまだ余ってるし、荷物になるので今回は買いませんでした。
というわけで2時間半滞在したたつの市皮革まつり。来年もぜひ来訪したいですね。
13時、ツアーの目玉であるタンナー見学へ向かいます。
世界屈指の馬革タンナー『新喜皮革』さんへ
やってきたのは60年以上の歴史を持つ、世界屈指の馬革タンナー『新喜皮革』さんです。
馬のお尻の部分にあり、『革の宝石』、『革のダイヤモンド』とも呼ばれるコードバンの生産を主に行っています。
コードバンのタンナーは世界を含めても極めて少なく、日本ではこの新喜皮革さんだけなんだそうです。
タンナーのすぐ前を流れる市川。
革の鞣し作業には大量の水が必要なので、タンナーのそばには大きな川の存在が重要なんだとか。
この地域にタンナーが多いのも、穏やかな流水と広い河原があるこの市川の存在が大きかったそうです。
案内され工場内へ。
!…こ、この強烈な匂いはいったい…。
こちらはヨーロッパから輸入した馬の原皮です。腐らないように塩漬けにされたものが大量に積まれていました。
結構強烈な見た目ですね…。
尻尾の毛がすごく生々しい。
当たり前なんだけど、普段何気なく使っているレザーは、もともとはスキンだったってことを改めて実感出来ました。大事に使わなきゃな。
ドラムと呼ばれる巨大な木製の樽。このドラムで先程の塩漬けにされた原皮に洗浄して綺麗にします。
タンニンなめしを行うピット槽です。日本でピット槽を使って鞣しを行っているタンナーは数件しかなく、なかなかお目にかかれないそうです。
中に充満している液体はアカシアの木から抽出したタンニン液です。
このピット槽に原皮を長時間漬け込む事で、皮の繊維間にタンニンが浸透し、皮から革へと変わります。これがタンニンなめしと呼ばれる製法です。
漬け込む期間は約一ヶ月。すごい時間と手間がかかってるんですね。
続いて2階へ向かいます。
現れたのは天井一面に吊るされた無数のコードバン!
いったい何匹分の革があるんだろう。
鞣した皮はこのように天井に吊るされた状態で約10日間乾燥させます。窓も全開で扇風機もフル稼働。
乾燥が終わった革は数ヶ月眠らせ熟成させます。
コードバンは馬、シマウマ、ロバ等の馬科のお尻の部分にある革で、銀面と床面の間にある繊維層の事を言います。
つまり普通の革は表面となる銀面と、裏面の床面の二層構造ですが、コードバンは床面のみの一層構造になるんですね。
職人が床面から慎重に削っていきこの繊維層をむき出しにして採取するわけですが、繊維層の有無やどれぐらいの量が採れるのかは実際に削り出すまではわからないので、まさに博打なんだそうです。
この削り出す採取方法や希少性の高さがコードバンが『革の宝石』、『革のダイヤモンド』と呼ばれる所以なんですね。なんかロマンだなぁ。
僕はコードバンは馬のお尻の革というぐらいしか知らなかったので、すごく勉強になりました。
実際に削り出したコードバンに触らせてもらえました。
別の棟へやって来ました。
こちらはたしかクロムなめしを行うドラムだったかな。
職人さんが作業中でした。
グレージングマシンを使った艶出しの作業を実際に見せてもらいました。
先端に取り付けているガラス製の円筒です。これを革の銀面に強く押し付け前後にこすって摩擦させます。
見事な光沢が現れました。はぁ〜うっとりするような美しさ。まさに革のダイヤモンド。
こちらは一つ30万円程する超高級ランドセルに使われるコードバンを見せてもらいました。す、すげぇ…すでに高級感が漂ってますね。完成品を見てみたいところ。
ここまでコードバンばかりを見てきましたが、もちろん馬革はそれだけではありません。お尻の部分以外も、ホースハイド(馬革)として様々な革製品に使用されます。
後日、この新喜皮革さんで鞣されたホースハイドを使用した高級レザーフライトジャケットを買っちゃいました!

バズリクソンズのA-2タイプのレザーフライトジャケットです。それなりのお値段はしましたが一生モノです。大事にしていきます!
新喜皮革タンナー見学を終えて
最後に革職人さん達が実際に革製品を作っている現場も見せてもらい、そうして約一時間の見学が終了しました。
いや〜すごく内容が濃くて楽しかったです!レザークラフトでは今まで牛革しか使ってきませんでしたが、ぜひそのうちコードバンを使って製作してみたいと思いました。
3月には新喜皮革さんの敷地内でアウトレットセールが開催されるようなので、バイクツーリングがてらまた訪問したいです。
こうして新喜皮革を後にし、続いては『オールマイティ』というタンナーへ向かいます。
皮から革へ! 姫路のタンナー工場見学で皮革を学ぶ その2 〜オールマイティ編〜へつづく。



こんにちは。以前BIKEBIKEBIKEの時にコメントさせて
もらった、はりいです。お久しぶりです。
姫路のタンナーの見学めっちゃ羨ましいです。
自分は栃木レザーより姫路レザー派でして(笑
鞄や財布とか買って楽しんでいます。
今年6月に革ジャン、リアルマッコイズのJ-100
を清水の舞台から転げ落ちる
覚悟で買いました。
J−100のホースハイドを調べてたら新喜皮革のだと知って
興味持ってました。
お高いだけあって凄い革ジャンですよ。
あ、そうそう、8月末からST250(キャブ)乗りになりました。
ST乗りやすくて素晴らしいバイクですね。
また遊びにきますね
こんばんは、お久しぶりです!
タンナー見学はレザークラフトをやったり革製品が好きな人間にとってかなり楽しめると思うのでチャンスが有ればぜひ行ってみてほしいです。
僕はショップのバスツアーで参加しましたが、来年3月に新喜皮革さんで行われるアウトレットでは、工場見学も行ってるようですよ!
https://info847445.wixsite.com/mysite
なんと僕もつい先週、新喜皮革の革を使ったバズリクソンズのA-2フライトジャケットを清水の舞台から飛び下りる思いで買っちゃいました。革好きバイク好きはやっぱりここにたどり着くんですね笑。
前回ブログのURLを記載してもらっていたようですが見落としていました…汗
こちらもまたゆっくりそちらのブログにお邪魔したいと思います!